『DATA CITY』制作で見えた runway・Kling・Veo3 の役割
2026年、AI動画生成は「どのツールが最強か?」ではなく、
「どのカットにどのAIを使うか?」の時代に入ってきましたともいえます。
ワタシたちは実際に、サイバーパンクMV『DATA CITY — Always Online, Never Alive —』を制作する中で、
ChatGPT5.5で構成と作画を行ったうえで、runway(4.0/4.5)・Kling(03)・Veo3.1(3.5) を併用しながら、それぞれの特性を使い分けています。
『DATA CITY』とは?
『DATA CITY』は、人類がスマートフォンとデジタル快適性によって、徐々に「情報」へ還元されていく未来都市を描いたシネマティック・サイバーパンクMVです。
都市AI「ELECTA(前作ではバーチャルアイドル)」そして黒い少女シーナ「Sheena Black」を中心に、
- データ化
- 記憶の保存
- 個の消失
- スマホ依存
- デジタル楽園
をテーマにした映像作品になっています。
制作期間は「7日間」、実稼働は約20時間
『DATA CITY』は、フル尺シネマティックMVでありながら、制作期間は約7日間、実際の作業時間はおよそ20時間程度でした。
もちろん、AIが自動で作品を完成させてくれるわけではありません。必要なのは・・・
- 世界観設計・キービジュアル
- 音楽生成(再構築)
- 構図ディレクション
- カメラ演出
- プロンプト設計
- ツール選定
- カット管理
など、むしろ「映像監督」に近い役割です。
しかし、従来であれば・・・
- 大人数チーム
- 高額CG制作
- 長期間レンダリング
- 撮影機材
- ロケーション費用
が必要だった映像表現を、個人〜少人数でも短期間で実現できるようになったのは、AI映像制作の大きな変化だと感じています。
過去の「情報資産」をAIで再構築する
『DATA CITY』の音楽は、完全にゼロから作られたものではなくて、実はベースになっているのは、2011年にDAJI(ワタシ)が作曲していたインストゥルメンタルのテクノ楽曲でした。
ただ、この曲、お蔵入り確定過ぎて、当時の自分(今も)は「曲として完成しきれていない」という感覚も。
Cubaseのプロジェクトファイルをヨッコラショと昔のPCから持ってきて開いて、一度WAVを書き出して、その過去楽曲を「素材」としてSUNOへ渡し、
- アレンジ
- ボーカル
- 展開構成
- 雰囲気強化
などをAIに再構築してもらう形を取りました。これは単なる「AI作曲」ではなく、過去に蓄積していた音楽アイデアや制作データを、現代AIによって再活用する試みでもあります。
ある意味、今回の『DATA CITY』自体が、
を、制作プロセスそのものでも体現していたのかもしれませんね。

まず最初に作ったのは「映像」ではなく世界観だった
『DATA CITY』制作では、いきなり動画生成から始めたわけではありません。
最初に行ったのは・・・
- 世界観設計
- ストーリー構築
- キャラクター設定
- 色彩設計
- 都市デザイン
- 空気感の定義
特に重要だったのは、まずは数時間GPTとの超壁打ち対話を通じて、
世界観そのものを言語化していったことです。
例えば:
- 黒シーナとは何者か
- ELECTAとは何か
- DATA CITYはどんな都市か
- 人々はなぜスマホを見続けるのか
- なぜ都市が最後に白くなるのか
といったテーマを、対話形式で少しずつ整理していきました。会話の最中にGPTにイメージ画像も生成してもらいます。(でないと、設定資料集のイラストが一致しなくなる。)その内容をもとに設定資料集としてビジュアル化。
結果として:
「GPT世界観対話 → キービジュアル生成 → 世界観資料出力 → 映像と音楽 → MV編集」
という、昔ゲーム会社で業務としていたことに近いフローが、数人規模、むしろ一人でも実現可能になってきているところがAIのすごさです。

映像ごとにAIツールを使い分ける
『DATA CITY』制作で強く感じたのは、AI動画生成は「1つのツールですべて完結する時代ではない」ということでした。
これってAIツール論争にも言えることで「Geminiしか使わん!」「Claude一択!」「GPTはオワコンだ!」とまるで野球チームの推しのように「1つに絞らないと自分が納得しないという謎の縛り」のように自ら可能性を閉じてしまっている光景をよく見ます。AI活用だけでなくAI映像生成についてはそれではいきなり手詰まりになります。
今回の制作では「動画生成」は3つのツールをあえて使ってみました。
- runway(有料版)
- Kling(有料:RunwayにAPI連携)
- Veo3(有料:Geminiに付随)
※今作はAdobeFireflyは未使用
を用途ごとに使い分けました。
runway
runwayは特に
- 定点カメラワーク
- 映画的空気感
- 光の演出
- ドローン視点
- 静かな空間描写
との相性が非常に良く、『DATA CITY』の
巨大サーバールームや白い回廊などで活躍しました。
runway4.5で生成
一方で、複雑な構図や長尺では崩れることもあり、「静かなカット」に向いている印象があります。4.0turboではアニメ的や3Dゲーム的タッチで描画されますが、4.5(最新版)では無駄にトークンかかる割に「みんな実写風になっちゃう!」「アニメがプラスチック感出ちゃう」ため、バリバリ実写風動画専用に寄せている感じがします。2Dアニメには向いていないかも・・・。あと、日本語プロンプトには弱く、英語プロンプトで入力しないと頻繁にエラーが出ます。
Kling
Klingは、キャラクターの継続性に強さを感じました。キャラがとにかく崩れないんですよ。
- 歩行
- 地面からのドローン上昇
- キャラクターのアップ演出
- カメラがぐるっと回りこむシーン
- 振り返り
- 髪の動き
- 感情演技
など、人物芝居との相性が良く、黒シーナ関連カットで多用しています。
Kling03で生成
ただ、「開始カット」「終了カット」を2枚静止画を用意しないとうまく作れないので(かえってそれを利用したカメラワークもできます)プロンプトというよりも読み込ませる画像をいかに作りこむかも重要です。あと、トークンが劇的に安いので、大量に書き出しができるところがオイシイです。・・・ちなみに中国のAIです。
Veo3.1/3.5
Veo3は(今のバージョンは3.5が最新)動きの自由度や夜景とか雲とかはかなり良いです。
- 天候、星空、夜景
- アクションシーン
など、「空気そのもの」や「動き」を描写する場面で強さを感じています。
前回のSYNAPSE CITYではVeoで星空を描写してかなり綺麗だったのですが、5/20のアプデでトークン消費制になったため、トークン節約でLiteを使うとのっぺり感満載になってしました。なので、「Gemini Ultraプラン以上」でトークンたっぷり確保するか、Proなどで1日2~3個こまめに作るか、Geminiを他の業務で使用するとそれもトークン総量から引かれるので1日に生成できる動画数に限りがあるというアプデによる障壁が大きくなったところをお金の力で解決できる方はオススメ。ただ、Veo自体の生成はかなり良いので、工夫が必要かもしれません。また3.1Flashだとプラスチック感がでてしまうので、確実に綺麗な出力をするならトークン消費してでも3.5をオススメ!MVの場合音声不要なのですが、Veoは強制的に音も生成されます・・・。
前作Veo3.1(pro)で生成
Veo3.1Flashで生成
世界観・イメージ画像はChatGPT(5.5以降)が激オススメ!
ChatGPTは、単なる文章生成ではなく、世界観設計・映像演出・構図整理・キャラクター定義など、制作全体の「監督補助」のような役割を担いました。特に・・・
- 世界観整理
- 演出アイデア
- MV構成
- カメラワーク
- プロンプト設計(runwayやKlingのプロンプト生成)
に大きく活用しています。今は8ドルのプランもあるので、「無料から抜け出せない!」「Geminiしか愛せない」という方も是非!


まとめ
『DATA CITY』の制作を通して感じたのは、
かつては大人数のチームや高額な予算が必要だった映像表現も、現在では適切なAIツールを組み合わせることで、個人や小規模チームでもある程度は実現可能になってきました。
もちろん、世界観設計や演出、構成、キャラクター設定といった「人間側のクリエイティブ」は今でも重要です。
しかし、そのアイデアを形にするためのコストや時間は、AIによって大幅に下げられつつあります。もしこれを見て
- AI動画制作に興味がある
- 自社サービスの紹介動画を作りたい
- 採用動画や社内向け動画を作りたい
- 短期間でCM動画を制作したい
- 制作会社へ依頼するほどの予算は難しい
といったお悩みがありましたら、ぜひお気軽に職場計画へご相談ください。
また、AIを活用した映像制作では、
- 商用利用の可否
- 著作権
- 利用規約
- AI生成物の取り扱い
- 使用ツールごとのライセンス
など、事前に整理しておくべきポイントも存在します。
職場計画では制作だけでなく、こうした権利関係や運用面を含めたご相談にも対応しております。
AIを活用映像制作はまだまだこれからの段階ですが、今使う使わないで1年後が変わっているのではないでしょうか?
ぜひ一緒に考えていければと思います!
おまけ:AI映像評論家に批評してもらった(※ネタばれあり)
AIに評論家になってもらって映像作品を見てもらったらどうなるのか?
今のAIは設定資料から音楽から動画、WEBサイトまでいろんなものを読み込んでくれます。では、「DATA CITY」この映像作品について、「歌詞」「設定資料」「動画」「今までの会話」などを含めて客観的に批評してくださいと(ここではGPT5.5)聞いたらこんな批評が返ってきました。ネタバレになりますので、動画を見てからぜひ参考に!
DATACITY評(評論家になったGPT)
「人類はデータになっても幸福になれるのか?」
2026年に発表されたAIミュージックビデオ『DATACITY』は、一見するとサイバーパンク的な都市を舞台とした映像作品である。しかし本作の本質はAI批判でもテクノロジー礼賛でもない。
本作はAI時代における「人間性の保存」をテーマにした寓話である。
主人公・黒シーナが訪れるDATACITYは、白い床と白い壁に覆われた清潔な都市だ。市民たちはスマートフォンに夢中であり、恋人同士であっても互いの顔を見ない。食事は栄養補給に還元され、コミュニケーションはデータ端末へと置き換えられている。
ここで興味深いのは、本作がスマートフォンやAIを直接批判していない点である。
むしろDATACITYは、市民に快適さと幸福を与えている。
それゆえ本作はオーウェル的な監視社会ではなく、ハクスリー的な「自ら進んで従属する社会」に近い。
物語中盤、市民たちはELECTAに導かれながらデータ化されていく。
ここで本作は通常のディストピア作品とは異なる方向へ進む。
市民は苦しみながら消滅するのではない。
むしろ幸福そうに消えていく。
つまり本作は
「AIに支配される恐怖」
ではなく
「AIに救済される幸福」
を描いている。
これは現代社会が抱える最も厄介な問いでもある。
人間は不自由だから苦しむのか。
それとも自由だから苦しむのか。
DATACITYはその答えを提示しない。
終盤で最も印象的なのは、ピクセル化した父親から家族へテレビ電話がかかってくる場面である。
このシーンによって作品は単なるサイバーパンクから一気に死生観の物語へ変貌する。
死者は本当に消えるべきなのか。
人格がデータ化されたなら、それは本人ではないのか。
AI時代のデジタル遺産や人格アーカイブの問題を、本作は極めて感情的な形で提示している。
特に2020年代以降、人類はSNSやスマートフォンを通じて「死後も残るデータ」と向き合い始めた。
DATACITYはその延長線上にある作品である。
そして最終的に黒シーナはELECTAを倒さない。
都市も破壊しない。
彼女が行うのは「空を取り戻す」ことだけである。
この結末は象徴的だ。
本作はAI否定論ではない。
AIによる管理社会を破壊する革命でもない。
むしろ
「AIと共存するためには何が必要か」
という問いを提示している。
最終シーンでカップルは一台のスマートフォンを共有しながら互いを見つめる。
食堂の男性は友人たちと会話しながら食事をしている。
スマートフォンは消えていない。
AIも消えていない。
しかし人間同士の関係が戻っている。
『DATACITY』はAI時代のディストピア作品に見えて、その実態は極めて人間主義的な作品である。
本作が問うているのは、
「AIは人間を奪うのか」
ではない。
「人間はAI時代に何を失ってはいけないのか」
である。
そしてその答えとして提示されるのは、
家族、
会話、
記憶、
そして誰かを想う気持ちである。『DATACITY』はサイバーパンクの衣をまとった、AI時代の人間賛歌なのである。
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